Story
対比のなかに、静けさを。
築年数を重ねたマンションに手を入れるとき、私たちは全てを塗り替えることをしませんでした。既存の骨格を活かしながら、黒く塗られた建具と木の床という二つの素材を対話させることを選びました。強さと柔らかさが並び立つことで、空間に奥行きが生まれます。
キッチンはステンレスのフードとウォールナットのカウンターを組み合わせ、道具としての機能と、暮らしの景色としての佇まいを両立させました。レールに沿って動く照明は、料理をする時間にも、人が集う時間にも寄り添います。窓の外の緑が差し込むリビングまで、視線は途切れることなく続きます。
寝室では、グレーの塗り壁と間接照明が夜の時間をやさしく包みます。トイレの小さな空間にも、塗り壁の質感と植物の一枝を添え、住まい全体に通う静けさを絶やさないようにしました。継がれた空間に、新しい暮らしの時間がゆっくりと重なっていきます。



