リフォーム・リノベーション研究室

リノベーション中の仮住まい計画、費用と選び方の実務

公開2026.08.25 更新2026.08.25
リノベーション中の仮住まい計画、費用と選び方の実務

住まいを百年先まで住み継ぐためのリノベーションには、相応の工期と、その間の仮住まいという現実的な課題が伴います。本稿では、仮住まい計画にかかる費用と選び方について、実務の視点から整理いたします。

仮住まいという工程を軽視してはいけない理由

大規模なリノベーションを検討される際、多くのお客様の関心はプランや素材、設備といった「出来上がりの姿」に向かいがちです。しかしながら、工事期間中どこに住むかという仮住まい計画は、予算にも生活の質にも直結する重要な工程であると私たちは考えております。

特に住まい全体に手を入れる、いわゆるフルリノベーションでは、工期が三か月から半年、時には一年近くに及ぶこともございます。この間の住居費、引っ越し費用、荷物の保管費用を織り込まずに全体予算を組んでしまうと、後になって想定外の出費に驚かれるケースが少なくありません。仮住まいは付随的な事項ではなく、リノベーション計画の中核をなす要素の一つとして、早い段階からご検討いただくことをお勧めしております。

工期別に見る仮住まいの選択肢とコスト

仮住まいの選び方は、想定される工期の長さによって大きく変わってまいります。一か月から二か月程度の短期工事であれば、マンスリーマンションやウィークリーマンションが有力な選択肢となります。家具家電付きの物件が多く、初期費用を抑えられる一方、一日あたりの単価は賃貸住宅に比べて高めに設定されている傾向がございます。おおよその目安として、都心部のファミリー向け物件で月額十五万円から三十万円程度を見込んでおく必要がございます。

三か月から半年程度の中期工事では、通常の賃貸住宅を短期契約で借りるという選択も現実的になってまいります。敷金礼金や仲介手数料といった初期費用は発生いたしますが、月々の家賃自体はマンスリー物件より抑えられる場合が多く、総額で比較検討する価値がございます。半年を超える長期工事の場合には、ご親族宅への一時的な滞在や、セカンドハウスの活用など、より柔軟な発想での計画が求められます。

いずれの場合も、工期には想定外の延長がつきものである、という前提を持っておくことが肝要です。私たちは計画段階から、実際の工期よりも一か月から二か月程度、余裕を持った仮住まい契約を推奨しております。契約期間ぎりぎりで完成予定を組んでしまうと、万一の遅延時に再契約や延長交渉といった余計な手間と費用が発生いたします。

荷物保管とトランクルーム活用の実務

仮住まいへの引っ越しにあたり、悩ましいのが荷物の扱いです。仮住まいの多くはファミリー向けの広さを想定していないため、現在のお住まいの荷物をすべて持ち込むことは現実的ではございません。ここで有効になるのが、トランクルームなどの外部保管サービスの活用です。

荷物を「仮住まいに持っていくもの」「トランクルームに預けるもの」「この機会に手放すもの」の三つに分類することが、費用を抑えつつ快適な仮住まい生活を送るための第一歩となります。特に大型家具や季節家電、当面使わない衣類などは、思い切って保管に回すことで、仮住まいの居住性を確保しながら月々の保管料も比較的低く抑えられます。トランクルームの費用は広さや空調の有無によって差がございますが、一般的な家財を預ける規模であれば月額一万円台から三万円台が目安となります。

なお、リノベーション完了後に新居へ荷物を戻す際の搬入経路や収納計画も、この段階であわせて考えておくことをお勧めいたします。せっかく新しくなった住まいに、行き場のない荷物があふれてしまっては、住み継ぐための住まいづくりという本来の目的が損なわれかねません。荷物の取捨選択は、暮らしそのものを見直す好機と捉えていただくとよろしいかと存じます。

引っ越し二回分の費用を抑える段取り

仮住まいを経由するリノベーションでは、旧居から仮住まいへ、そして仮住まいから新居へと、引っ越しを二回行う必要がございます。この二回分の費用は決して小さくなく、家財の量にもよりますが、合計で三十万円から六十万円程度を見込んでおく必要がございます。

この費用を抑える工夫として、まず繁忙期を避けた日程調整が挙げられます。三月から四月の引っ越しシーズンは料金が大きく上昇するため、可能であれば工事の着工時期をずらすなどの調整をご検討いただくとよいでしょう。また、同一の引っ越し業者に二回分をまとめて依頼することで、割引交渉の余地が生まれることもございます。

加えて、仮住まいへの引っ越しの際に、あらかじめ新居へ戻す荷物とそうでない荷物を整理しておくことも、二回目の引っ越し費用を圧縮する有効な手段です。段ボールの数を最小限にとどめ、不要品を事前に処分しておくことで、荷物量そのものを減らし、結果として双方の引っ越し費用を抑えることにつながります。私たちは工事計画のご提案と合わせて、こうした段取りについてもお客様と共有するよう心がけております。

仮住まい選びで後悔しないための視点

仮住まい計画において最も重要なのは、費用の多寡だけでなく、ご家族の生活動線を維持できるかという視点です。お子様の通学、通勤経路、日々の買い物といった生活の基盤が大きく変わってしまうと、工事期間中のご負担が想像以上に大きくなることがございます。可能であれば、現在のお住まいから無理のない範囲の距離で仮住まいを探すことをお勧めいたします。

また、ペットをお飼いの場合は、ペット可の物件が限られることも念頭に置き、早めの情報収集が必要です。私たちは、仮住まい探しについても工事計画と並行してご相談を承っており、必要に応じて近隣の不動産情報のご案内も行っております。住み継ぐための住まいづくりは、工事期間中の暮らしまで含めて設計されるべきものだと、私たちは考えております。

よくあるご質問

仮住まいの費用は総額でどのくらい見ておけばよいですか。

工期や家族構成によって差はございますが、仮住まいの家賃、引っ越し二回分、荷物保管費用を合わせて、一般的なフルリノベーションの場合は総額百万円前後を目安としてお考えいただくとよろしいかと存じます。物件のグレードや工期の長さによって上下いたしますので、早い段階での概算把握をお勧めいたします。

仮住まいはどのタイミングで探し始めるべきですか。

工事の着工時期が具体的に見えてきた段階、目安として着工の二か月から三か月前には情報収集を始めることをお勧めいたします。特にファミリー向けの物件やペット可の物件は数が限られるため、早めの行動が選択肢の幅を広げます。

工期が延びた場合、仮住まいの延長費用はどうなりますか。

契約形態によって異なりますが、マンスリー物件の場合は延長分の日割り家賃が発生するのが一般的です。私たちは工期に余裕を持った契約期間の設定をお勧めしており、契約前の段階で延長時の条件についても確認しておくことが安心につながります。

まとめ

リノベーション中の仮住まい計画は、工期の見極め、荷物の取捨選択、引っ越し費用の段取りという三つの視点を押さえることで、無理なく進めることができます。住み継ぐ住まいづくりは、工事期間中の暮らし方まで含めて考えることが肝要です。

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